ある日、おじさんはロバ商人になりことにしました。そうして、うきうきしながら市場にでかけていって、いちばんよさそうなロバにまたがり、ほかのロバを後ろから追い立てて。ところが、おじさんがロバの数を数えてみたら、十一頭しかいません。
買ったのは十二頭のはず。おかしいなと思い、ロバから下りて、もう一度数えたら、よかった、ちゃんと十二頭います。ほっとして、また一頭のロバにまたがって、念のためもう一度数えていると、あれっ、また十一頭しまいない。もう一度ロバから下りて数え直すと、こんどは十二頭。さっぱりわけがわかりません。
わからなくなったゴハおじさんは、ぽりぽりと頭をかきました。「でも、どうやら、わしがロバから下りると、一頭増えるようだ。それなら、そのほうが、ロバに乗って一頭少なくなるより、ずっといいぞ」そこで、ゴハおじさんは、家までずっと、十二頭のロバの後ろをとことこ歩いて帰ったのでした。
ゴハおじさんのやることなすこと、万事こんなふうなのです。ゴハおじさんはどんなに困った自体に出くわそうと、意に介しません。立ち止まって、ゆっくりと考える。ゴハおじさんにとっては、考えることは解答を見つけることではありません。考えるとは、いまの自分にとって必要な補助線をみつける、ということです。
金曜日 7月 2ndに公開